株式会社NITTAN恵那金属
Interview
株式会社NITTAN恵那金属
日本人と外国人が互いに協力する社風

社員の約30%を占める外国人の活躍
当社は、製造、貿易、設計など幅広い業務を行っているため、雇用の門戸を広げ、国籍にかかわらず幅広く採用してきた結果、現在は従業員数107名の約30%にあたる33名が外国人という状況にあります。国籍は中国、ネパール、インドネシアと様々で、在留資格も「技術・人文知識・国際業務」、「特定技能」、「技能実習」など多様です。このように多種多様な外国人社員が働く職場は、一般的に人事管理が難しく、作業効率も落ちるのではと思われがちですが、当社では、それぞれの外国人社員が各分野で力を発揮してくれており、非常に効率良く仕事がまわっています。それを可能としているのは、異文化、異言語に対する日本人社員の理解が土台にあったからだと考えています。

代表取締役 市岡 真二さん
外国人社員とのコミュニケーションと教育
初めて雇用した外国人は、中国からの技能実習生でした。そこで課題となったのが、異言語によるコミュニケーションをいかに円滑に行い、関係性を深めるにはどうしたらよいかということでした。そこで、まずはスマホアプリの翻訳ツールの導入や、現場の作業マニュアルを母国語に翻訳することから始めました。これには当然コスト、工数が発生しましたが、想定以上の効果があったと考えています。
次に、中長期的な視点で外国人社員を育てるため、業務面、生活面の効果的な指導方法についても検討しました。そして、日本人社員による教育に加え、技能実習生の先輩が後輩に指導することも効果的だと考え、まずは、1期生が2期生以降を指導する教育体制をつくりました。この体制は、今も効果を発揮しています。
さらに、英語を話せる日本人社員が、生活指導員として外国人社員をサポートする体制も整えました。基本的に社内の共通言語は日本語としていますが、フィリピンやインドネシアなど母国語が異なる複数の外国人社員が混在していることから、英語でのコミュニケーションも可能とする体制としたのです。その結果、生活面などでは、むしろ英語の方がコミュニケーションを図りやすい状況になったほか、言語の選択肢が増えたことで、外国人社員の安心にもつながったようです。
毎月1回行う全社員が参加する朝礼の際は、日本語で話している内容をタガログ語やインドネシア語などの多言語に翻訳しスクリーンに映します。生成AIの導入で準備の手間が少なくなり、翻訳の精度も上がりました。共有すべき事項が外国人社員にも正しく伝えられていると感じています。


インドネシア現地試験の様子
年齢・性別・国籍を問わず評価
当社には、年齢・性別・国籍を問わず、能力ベースで評価し、それを互いに認め合う風土があります。その一例として、表彰制度が充実しています。「社員が投票で選ぶMVP」と「社長が選ぶMVP」があり、どちらにも外国人社員が選出されたことがあります。
社員が選ぶMVPは「エモーション(感謝)」「エミュレーション(見習いたい)」「エンカレッジ(元気をくれた)」の3部門で年2回12人ずつ選出されますが、3分の1が外国人社員です。「挨拶の時、ハイタッチをしてくれる」「細かいところまで気を配って作業をしている」など、選出理由は様々ですが、業務中の姿を評価してもらえるのは外国人社員の励みにもつながり、本人だけでなく外国人社員同士で喜びを分かち合っています。

MVP表彰された社員
外国人社員が係長や子会社の社長に
また、外国人社員は、昇給はもちろん、係長や主任にも昇進しています。
フィリピン出身の技能実習生の1期生は、現在、特定技能1号となりました。大変優秀な人材で、現場作業を行いながら一緒に働く実習生のまとめ役としての役職(係長)を与えています。現場のリーダーになれることは、他の外国人社員のモチベーションアップにもつながります。会社としても、より専門的で高度な技術が身につくよう指導しており、外国人社員全体のスキル向上を支援しています。
ほかにも、中国にある子会社の社長は、かつて当社でアルバイトをしていた中国人留学生の方にやってもらっています。彼には、入社後しばらく国内事業で経験を積んでもらい、中国工場に赴任してもらいましたが、その後管理職や工場長を経て、現在は社長です。私自身も、23歳で入社してから様々な役職を経験したのちに社長に就いておりますが、“努力し、成果を出せば認められる環境”が当社に整っていることが、個人を成長させ、そして会社の成長にも繋がっていると感じています。
まずは相手を知ることからはじめる
中国工場の立ち上げの際、私は累計160回ほど中国に行きましたが、工場でも街中でも「日本人が私ひとりだけ」という状態が何度かありました。現地では私自身が外国人として扱われ、マイノリティの寂しさ、不安などを経験しました。しかし、その経験のなかから学ぶことも多くあったと感じています。
技能実習生の面接を現地で行っています。その際、私は日本語の能力はそれほど重要視していません。面接の際は本音を聞きたいので、きちんと思いが伝えられるのであれば、母国語で答えてもらってもいいと思っています。実技では、器用さを見るボルト締め、作業の正確さを見るコイン数えなど、現場作業につながる実践的な内容を見るようにしています。
さらには家庭を訪問して生活環境を見ることで、面接だけでは伝わらない事情や背景を知るように心がけています。特に、ご家族と面会すると、本人の人間性や想いまで分かります。
外国人社員の挑戦や覚悟を全社員にしっかりと伝える
昨年1月にインドネシアの男性の家庭訪問を行いました。そこはかなり田舎で、この地域から海外へ行くのは大変珍しいことだと聞きました。彼自身は幼い姪の学費を稼ぎたいという目標があり、お父さんは息子を誇りに思い応援していましたが、お母さんは寂しい思いがあふれ泣いていました。実際にその彼は、入社後も勉強熱心で、日本語の上達もすごく早いと聞いています。
本人のバックボーンや、その家族がどんな思いでいるかを知ることは大事なことです。日本人社員の中には、技能実習生たちの置かれた生活環境が自分たちと同じだと考えている人もいますが、決してそうではないということを理解することも必要です。私は朝礼などの機会を通じて、彼らの挑戦や覚悟を社員にしっかりと伝えていくことを大切にしています。現在、職場の対等な仲間として受入れることができている下地となっていると思っています。

インドネシアでの面接後、家庭訪問
注意するときは国籍で一括りにしない
外国人社員の生活面についても厳しくチェックしています。私たちには彼らの生活を預かる責任があります。初めは日本のルールに沿っていても、慣れてくると段々、自国のルールに戻ってしまうことがあります。生活習慣の違いは理解しつつ、細かなところまで指導しています。例えば、自転車の乗り方で地域の方から注意をいただいたことがありました。こういった指導をするときには、国籍で一括りにしないことを意識しています。自転車の乗り方が良くないのは誰なのかを把握して、本人に注意することとしています。
国籍の垣根を超え中津川リレーマラソンに参加
こうした地域との関係構築を続け、日本のルールを守っているからこそ、地域の方との共生も上手くいっているように感じます。挨拶を交わしたり、おすそ分けをもらったり、地域のお祭りに参加するなど交流をしているようです。休みの日は登山やBBQをしてプライベートも充実させています。
また、社内で日本人社員を含めたマラソンチームをつくり、地元の「中津川リレーマラソン」にも参加しています。10人1チームで2チームを編成し、20人のうち12人が外国人社員です。大会に出場しない社員も練習を手伝うなど、多くの社員が関わってくれています。
こうした活動を通じて、社員同士が国籍の垣根を越えて交流する機会が生まれています。その積み重ねが働きやすい職場づくりや定着につながっていると感じます。また、外国人社員自身も積極的にイベントへ参加し、自分たちなりの楽しみを見つけながら日本での生活に馴染んでくれていることを、大変嬉しく思っています。
外国人の雇用を考えている企業へのアドバイス
外国人材の受け入れを始めたころは、弊社内でも日本人社員との軋轢がありました。日本人社員も外国人と接したことがほぼ無かったので、言葉が通じず指導が上手くできないことにいら立ちを感じていました。また、1人の外国人社員がミスをすると、他の外国人も集めて全員を注意するなど、外国人をひとくくりにしてしまうこともありました。
やはり、文化も環境も違う場所で生まれ育った人たちが一緒に働くことは簡単なことではありません。だからこそ、外国人を外国人として扱わないことが最も大切だと思います。もちろん宗教的な配慮など可能な限りの対応は行いますが、対応できないことはきちんと理由を伝え納得してもらい、「特別扱い」はしないようにしています。
国籍、年齢、性別は関係ありません。能力があれば外国人にも若い人にも役職ポストを与えます。少子高齢化が進む中、日本の中小企業、特に製造業では外国人材の活用を避けて通れません。それならば、同じ人間として対等に活躍できる場を作った方が生産的です。外国人だからと偏見を持っている方もいらっしゃいます。また、外国人に対する悪い評判が一部にはあることも事実です。国籍などの大きなくくりで捉えずに、個々と向き合えば偏見など持つ必要はないとわかるはずです。
今は外国人も会社を選ぶ時代になりました。ソフト、ハード両面で受け入れる体制づくりを少しでも早くしていけると良いと思います。当社の企業理念のひとつに、『社員への貢献』があります。これを社内においては『なかまへの貢献』と読み、社員同士で貢献し合う風土を醸成しています。これにより日本人も外国人も関係なく、お互いに貢献しあえる組織になっていると思うのです。日本人だから、外国人だからではなく、同じ人間として向き合うことが外国人材を活用する上でとても大切なことだと考えます。
会社概要
| 会社名 | 株式会社NITTAN恵那金属 |
|---|---|
| 企業URL | |
| 所在地 | 岐阜県中津川市小川町2 番18 号 |
| 事業内容 | 製造業 |
| 従業員数 | 107 名 |
| 外国人材雇用人数 | 中国 1 名、ネパール 2 名、インドネシア 22 名、フィリピン8名 |
※取材時点の情報となります。 |
2026年に創立80周年を迎えた株式会社NITTAN恵那金属(旧恵那金属製作所)。高い技術力が求められる自動車部品の量産加工や産業機器部品の高精度加工、意匠性を高める表面処理を強みとし、その技術はペット用品や家電製品を含む幅広い分野で採用されています。中国江蘇省に子会社を持つなどグローバルな事業展開の中、多くの外国人が活躍されています。そこで、外国人材活用のきっかけや秘訣を代表取締役の市岡 真二様に伺いました。